平成の時代が始まってまもなく山手線に導入された6扉車は京浜東北線、埼京線などの他線区等にも広がりを見せましたが、通勤時間帯の混雑状況の緩和やホームドアの設置で次第に使われなくなり、現在では総武緩行線を残すのみとなりました。あと1年足らずで平成も終わろうとしていますが、6扉車は言わば平成という時代を駆け抜けた車両だったと思います。そこで今回スリット写真を使ってJRの6扉車についてまとめてみました。
通勤型電車の6扉車は平成212月頃にJR山手線の205系で始めて登場しました。この6扉車は通勤時間帯の混雑の緩和にありましたので、始発から10時まで車内の椅子が着席できないような構造になっていました。また、この6扉車を10号車(写真:サハ204-22)として新規に投入することで山手線は10両編成から11両編成となりました。 朝のラッシュ対策のために導入された6扉車でしたが、当時マスコミからは乗客を貨車扱いなどと批判され、この6扉車についてワキ204と揶揄されたりしました。
平成14年頃から順次従来の205系に変わって山手線にE231500番台が新型車両として投入されました。この新しい車両にも当初から7号車(写真:サハE230-510)と10号車に1編成で2両分の6扉車が組み込まれました。
平成22年になって山手線の混雑率が緩和されたのに伴い、平日10時まで着席できなかったものを終日も着席可能になりました。またその後に将来的なホームドアの整備のために6扉車がネックとなるので新規の4扉車の導入で2両とも編成からはずされることになりました。 なお、平成29年より山手線に本格的に導入が始まった新型車両E235系では当初から6扉車はありません。
 
京浜東北線の209系は103系に代わって平成5年から導入されましたが、導入当初は6扉車は組み込まれていませんでした。しかし平成7年頃から量産により導入された209系には当初から6扉車が組み込まれていましたが、6扉車のない初期の編成はその後サハを改造して6扉車にしています。京浜東北線では編成の中央部で混雑することから6扉車の位置は6号車になりましたが、朝着席できる時間は9時半と山手線より30分早かったです。
(写真:6号車 サハ208-19)
 
埼京線では平成16年頃から山手線より転籍してきた205系のうち6扉車については一部組み込まない編成もありましたが、多くは2号車と3号車に6扉車が組み込まれました。その後、平成25年から埼京線についても新型のE2337000番台が順次導入されたことから6扉車はなくなりました。(写真:2号車 サハ204-7)
現在JRの6扉車はこの総武緩行線の車両だけが残っていますが、2020年までには全廃となる予定です。
総武線の千葉駅で5月に撮影したサハE231-44で5号車に6扉車が1両連結されていた。
 
6扉車の車内の様子。ドアごとに車内中央に鉄棒があるのが特徴
 
3人掛けのこじんまりとした椅子。底の部分が使用しない時は跳ね上がった状態になる。
 
 座れる時は座席の四角いランプが緑色で点灯している。