有名な鉄道撮影地ヒガハスでのスリットカメラ撮影記(続)

 前回はヒガハスの撮影地探しについてのブログを書きましたが、今回は探し当てたその撮影地での実際の撮影活動について写真で説明していきたいと思います。
 撮影場所は、線路で行き止まりになっている道路の脇の田んぼをまたいで撮影できる場所で、田んぼはちょうど扇形となっていて、その扇の要付近がカメラをセットする場所でした。左側に道路がありますが舗装されている道路ではありません。



 今回はまずこの上の写真の真下辺りに三脚を立てることにしました。下の写真が三脚を立てた状態です。三脚の右足が草の中に入っていますが、この場合草の上に足があると足が浮いた状態ですから、下の土の中に確実に押し込めてあります。なお、三脚の雲台を高く上げているのは、下り列車の車輪が少しでも隠れないようにカメラの取り付ける位置を高くしているものです。



 この三脚の立て方次第でカメラが不安定となり撮影中画像が揺れることになるので注意が必要です。地盤は土が一番で、コンクリートだとコンクリートの表面に伝わる列車の振動を感じて揺れることが多いです。以前にマンホールのふたの上に足をかけた時はその影響が顕著に出たことがあります。


 次にカメラと1脚保持用の手作りの金具を三脚にセットします。ここでは下り列車を撮影するためにカメラを天地逆に取り付けます。列車の進行方向とフィルムの移動方向が常に逆になるようにしないといけません。これはフィルム式スリットカメラの基本中の基本です。

 本来はカメラは水平でなければなりません。その場合はこのように水準器を使って調べます。三脚にも水準器はついていますが、カメラをセットしてから別の水準器を使って計ります。
 この撮影場所では左に川があり鉄橋を渡るために線路が少し坂になっているのです。そこでその場合は、ファインダー内を見て左右の線路の高さが均等になるように三脚の傾きを調整しています。ただ、もし画像が傾いていたとしてもパソコンに画像を取り込めばソフトで修正できるのであまり神経質になる必要はありません。


 カメラのファインダーを見て撮影方向やズーミングを行って正しい撮影位置にセットを行います。これを誤ると撮影する範囲ばかりでなく、フィルムの列車速度との対応にも影響しますので慎重に行います。

 今回は下り列車を撮影するので下のレールと上の奥側の架線がファインダー内の上下に来るようにカメラとズームレンズの位置を調整します。これを誤って手前の架線に合わせるとその分下り列車が小さく写るので、フィルム速度が適正でも列車は引き伸ばされて写ることになります。また、マニュアルカメラなのでレール面でピントを合わせることも忘れずに行います。でないと全てピンボケな写真となります。
 真横撮影を行う場合には、ちょうど線路の向こうの電柱辺りにカメラを向けますが、このように事前に通過列車をデジカメで撮影して真横撮影の場合の位置を決めます。

 カメラの方向が決まったら、レンズとカメラを固定しますが、写真のように1脚を使ってレンズ先固定ます1脚の足の部分も先端が地面についていないとレンズの揺れにつながりますので、地面に足をしっかり押し付けます。

 写真では見えませんが、かばん内に電池ボックスがあります。それとコントローラを結線し、さらにケーブルでカメラと接続します。
 次に使用済みのフィルムを使ってテストを行います。フィルムを装てんして通過列車を待って一定時間フィルムを巻いてフィルムの移動コマを示すカウンタを見ます。




 カウンタは歩数計を改造したもので、ギアボックスの脇に表示部が取り付けてあります。磁石の動きでカウントするリードスイッチの配線部分を外に出し、ギアに取付けた回転する磁石でフィルムの移動量をカウントするようにしたものです。
 カウンタは、例えば時速90Kmの速さの10両編成であれば、10秒間で20カウントすればよい設定になっています。10両編成だと編成長は200mなので、時速90Kmなら秒速25mということで8秒で通過します。これに編成前後約1両分の糊代をつけることで10秒という数字になったものです。このカメラでは20カウントが列車長(この場合200m)のちょうど1/10になるように設計しています。実際にその時間で回してみてカウンターが指定の値になるようコントローラーのボリュームを調整してテストを行います。その日の気温による電池やコントローラーの影響、使用フィルムの状態などで、実際に撮影する前に試すことが重要です。

 このフィルム速度の設定は色々な経験から考えたものなので、初めての撮影場所で速度のわからない列車では使えません。


 このときに撮影した下り北斗星のスリット写真の一部をアップしましたのでどうぞご覧ください。


最後にJtrainという雑誌に使われた寝台特急北斗星のスリット写真について該当する部分をアップ
しましたので、ご覧ください。

 
 Jtrain 2015 Vol.59
 
 
2015.6.25 8007レ  1~5号車まで
 
6号車~11号車+電源車+EF510機関車