特別展「一人快芸術」を終えて

平成21年12月19日(土)から平成22年2月21日(日)までの期間に広島市現代美術館で開催された特別展「一人快芸術」にメンバーの一人として参加させていただきましたが、お陰さまで無事終了いたしました。

出展するに当たり大変お世話になった広島市現代美術館の方々や、お忙しい中はるばる広島までご足労いいただいた諸先輩の方々にサイト上で恐縮ですが、厚く御礼申し上げます。また、特別展をご覧になり、ご自身のブログ等で作品に対する貴重なご感想をいただけた方々にも感謝申し上げます。

思うに自分の作品を他の人に見てもらうには、フォトコンテストなどで選ばれて入選作品として多くの人に見てもらうのが一番早道だと思いますが、私のスリット写真の場合は、ほとんどのコンテストで応募要領のプリントのサイズで規格外として扱われてしまい応募できなかったのが実情です。

このため今回の出展を顧みて感じたことは、30年以上前から撮り続けてきた作品を発表する場として美術館という憧れの場所で展示させていただけたという歓びとともに、実際に美術館に展示された自分の作品を目の当たりにして、美術館のような空間が長い列車のスリット写真を展示する場所として最適であったと思いました。

特にA4ロール紙によるプリントは長大なものとなり、自宅でプリントしても狭い自宅ではその全容を広げてみることはできませんが、実際に美術館の壁に貼られた10m前後の作品が並んでいるのは圧巻でした。

今回出展した作品はそのほとんどが自分のホームページで横スクロール画像として公開しているものですが、四角いモニターに映し出される部分的な小さい画像に比べプリントした作品は、その長さが一望できるばかりでなく、近づいて見ることで高速で走っている列車なのにその細部まで鮮明に写っていることに驚かれた方もおられたと思います。

動いているフィルムに動いている画像を写すというスチルカメラでは到底考えられない方法で撮影するスリットカメラですが、フィルムの速度を間違えればブレまくる画像になるのに対し、適正な範囲の速度であれば列車があたかも静止しているかのように鮮明に写るのです。

特別展でスリット写真の作品をご覧になった方からも、ご自身のブログ等で述べられた感想の中で、展示されたプリントについて感動されたコメントをいただいております。

以下に一人快芸術展についての概要と実際に広島市現代美術館を訪れた時の様子について写真とともに掲載してありますので、まだご覧になっていない方は是非ご覧ください。


一人快芸術というのは、創ること、行為することそのものの楽しみや悦びに裏打ちされた表現に

注目し、様々な分野における多彩な活動を紹介するものです。参加者はプロばかりでなくアマチ

ュアも含め19人(組)で、そのなかの一人として参加いたしました。 私の場合はどちらかというと

限りなくアマチュアに近い存在です。

今回出品した作品は、30年以上続けてきたスリットカメラによる鉄道写真の作品です。

具体的にはパソコンのプリンタでロール紙に印刷した長編成列車プリントです。 最長は11メートル

余りの長編成列車プリントもあり、幅も210mmのA4サイズから、小さいものは30mm前後の細長

いプリントまで大小70余作品を展示しました。 元の画像はほとんど当写真館で掲載されている画

像ですが、特にA4幅の長いロール紙に印刷された列車の作品は、パソコンのモニター画面で部

分的に見る画像と異なり、見るものを圧倒するような迫力を感じていただけると思います。

また、以前使用していたスリットカメラや撮影済カラーネガフィルム、手動の長編成列車プリントビ

ュワーも同時に展示いたしました。  

   以下に21年12月25日(金)に広島市現代美術館を訪れ、撮影許可を得て
    内の展示品等を撮影した写真を掲載いたしましたので、どうぞご覧ください。   
 

 市電の比治山下の停留所から坂を上って10分ほどで美術館の正面玄関に着きました。近道もありますが、階段なので帰りに利用しました。山道にはどんぐりの実が落ちていたりして、ゆるい坂道が良い運動になりました。写真では見てはいましたが、立派な建物に驚きました。設計は故黒川紀章氏によるものです。屋根が開いている空間は原爆の爆心の方向を示しています。


 こちらが特別展会場入り口です。ここは1階ですが、この奥から展示が始まり地下の展示場へと続いています。

 ここが私の作品の展示ブースです。会場入り口から入って次の部屋に移るところから始まっています。まず天井に届くぐらいの高さまで壁に貼られたロール紙の作品群です。ロール紙は乾燥すると反り返ってしまい、はがれてしまわないか心配だったのですが、展示方法についてはさすが専門の美術館の方が、このように透明な板を使ってたくさんの作品を工夫して止めていただきました。作品はこの幅10cm程度のものに続いて、右側の壁に幅が3cm程度の小さいサイズの作品群が2列になって展示されています。さらにこの写真ではその一部が見えていますが、幅がA4サイズの一番大きくて長い作品へと続いています。長すぎる作品が90度曲がった次の壁に回って張られているのが、長さが強調されていいですね。

 最初の天井まで届きそうなぐらい高く展示された作品を、先ほどとは逆の側から撮影しました。こうしてみると固定するための透明な板はほとんど目立ちません。作品の左右どちらかに撮影車両の形式等が表示されています。

 一番大きなA4サイズ幅ロール紙による作品です。この位置では小田急HiSE車と東武鉄道スペーシアは短いので、この写真では見えていないのですが、上から「寝台特急あけぼの、寝台特急カシオペア、寝台特急北陸、急行能登、特急あずさ」の順です。離れた位置から見るとブルートレイン北陸の車体の青さが一番際立って見えました。

 以前使っていたスリットカメラです。スリットカメラの性能とは直接関係ありませんが、シャッターのストロークが異常に長いことで知られるコニカオートレックスという一眼レフカメラを改造して作りました。現在はこれを改良したコニカオートレックスT3を改造したスリットカメラを使っています。また、カメラを取り囲むように置いてあるのがスリットカメラで撮影した現像済ネガカラーフィルムで、このように長い透明シートに入れて巻いた状態で保管しています。このような長いシートは販売されていないので、透明なネガシートをカッターで切断してシート同士を熱圧着しています。

 壁に貼られている作品は、前にご紹介したA4幅のロール紙に印刷した作品群です。手前に透明な箱に入れられたものがありますが、これは何かといいますと、長いロール紙に印刷された作品を見る場合に使用する手作りのビュアーです。ロール紙の作品を手で扱いながら見ようとすると、とても扱いが厄介だったものですから、このビュアーを作りました。左右のハンドルを回せば写真にある小田急ロマンスカーが左右に動きます。ロマンスカーの手前に張ってあるものは自宅2階から眺めた線路脇の風景を貼ってありますが、ちなみに自宅近くの線路にはロマンスカーは走っていません。

開催場所:広島市現代美術館 広島市南区比冶山公園1−1

開催期間: 平成21年12月19日(土)〜平成22年2月21日(日)

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