先頭車両の床下機器の配置方向調べ


首都圏のJRの電車や大手私鉄の車両について鉄道スリット写真から前後の先頭車の床下機器の
配置状況など調べていたところ意外なことがわかりました。それはいろいろな配置状況からそれぞ
大きく2つのパターンに分類できたのです。そのひとつは旧国鉄やJR等が行っているもので、2両の先
頭車のいずれかの車両の向きを変える方法です。その次が車両の向きにかかわらず同一側面に同じ
床下機器が来るように配置するものです。また、この方法でも機器の並べ方で更に2通りに分類でき
ました。その一つが前後で全く同じ配置にする方法と前後の先頭車に対称となる配置にする方法です

<1. 同一の配列の車両を180度転換して連結している場合 >

さて旧国鉄やJRではないのですが、以前にツイッターのフォロワーの方から
小田急のロマンスカー3100形NSE車を製作するときに6号車を中心に1~5号
車、7~11号車まで同じものを作って、車両完成後に片方の半分の編成の向
きを180度変えることで、11両分の編成を完成させたものであるというお話を
聞きました。そこで、NSE車についてはスリット写真に撮ってあるのでその
画像を基に下の図のようにこの話のイメージを描いてみました。

 
 NSE車は11両連節の固定編成が7編成分製作されましたが、8両連節車の3編成だったSE車に比べその編成長や両数の多さからこのような方法が取られたのかもしれません。そこでNSE車の次に登場した7000形LSEロマンスカーの床下機器配置を調べたところ、この配置ではなく次の<2の1..同一側面の床下機器の配列を同じにする場合>の配置であることがわかりました。実車の写真を使った説明については後述していますのでご参照ください。


実際のNSE車の前後の先頭車の同一側面画像を見ても、同じ車両が向きを変えて繋がれている
のがわかります。床下機器の配置についても左右対称になっているのがわかりますが、それは車
両が180度反転しているからで、車両の反対側から見れば床下機器の配置も同じものとなります。

 
床下機器の配置については、旧国鉄や現在のJRの車両についても同様な状況です。
上の写真は583系の13両編成の前後の先頭車の画像の切り出しで、床下機器の配置に
ついては、小田急のNSE車と同様に前後の車両の向きが違うだけということが分かります。
 
この場合、前後の先頭車のいずれかを方向転換している感じです。またこの場合には車両
の保守の時に床下機器の配列が前後の車両で反対側になってしまうわけですが、運行す
る路線の多さや一つの編成が固定ではなく、編成の向きが変わったり必要に応じて繋ぎ変
えられることを考えるとJRなどでは床下機器の配置を固定するやり方は取れないようです。


<2の1. 同一側面の床下機器の配列を同じにする場合>

 
写真は京成電鉄の8両編成の3050形車両の前後の先頭車の同一側面の画像ですが、床下機器の配置を見るとまるでコピーしたかのように同じ配列になっています。これは同一側面の床下機器の配列をほぼ同じにすることで保守点検の効率化を図っているものと思われます。

 このような配置の仕方は小田急のLSE以降のロマンスカーや通勤型電車にも多く見られました。また他に京急や阪急、京阪電車にも見られました。

 
小田急NSE車のところで ご説明しましたが、NSE車に続いて登場した新ロマンスカーLSE車7000形については同様な方法はとられず、床下機器については前後の先頭車の床下機器の配列をコピーしたかのような配置となりました。上の写真をよくご覧ください。


<2の2. 同一側面の床下機器の配列を左右対称にする場合>

 
 写真はかつての東武鉄道のデラックスロマンスカー1700系の1号車と6号車の画像ですが、この両車両の床下機器については同じものが付けられていますが、その配置はほぼ左右対称になるように付けられています。なお、1720系についても同様な配置でした。

このような配列方法は最新の車両でも見られるようになりました。例えば近鉄の50000系「しまかぜ」や80000系「ひのとり」などにも見られます。同一側面に同じ種類の床下機器が付けられていることで<2の1>のようなコピーしたような同じ配列との違いはありますが、いずれも点検保守の効率化を図ったものと思われます。