スリットカメラが一般のカメラと構造上大きく異なる点は、レンズとフィルムの間にスリットという細長い隙間を設け、そのスリットを通してフィルムに映像を感光させるという点にあります。
 スリットカメラにはその構造により、撮影中スリットは静止していてフィルムが動くタイプのものと、フィルムが静止していてスリットが動くタイプのものとがありますが、鉄道の撮影には前者のタイプのものが適しています。
 スリットカメラの原理については、下の図を見ていただければ大体おわかりいただけると思いますが、カメラの裏ブタをあけてフィルム露光位置に「すりガラス」を当てると画像が逆さまに写ることからわかるように、フィルムの移動する方向と列車の移動方向は逆になります。
 このホ−ムペ−ジで紹介している手作りスリットカメラのうち、第1号機は右から左へ通過する列車専用ですが、2号機以降は天地逆に取り付け可能な構造にすることで、左右両方向の撮影が可能になりました。
 このタイプのスリットカメラで撮影した映像が一般のカメラと大きく異なる点は、撮影中常にフィルムが動くため、止まって見える背景などはフィルムの動く速度に関係なく完全に流れて写ることです。つまり結果的にフィルムの移動方向や移動速度に合致した被写体だけがはっきり写るわけです。
 そこで当然ながら撮影中シャッタ−は開放状態となりますが、その状態で被写体の移動速度にフィルムの移動速度を合わせることが撮影成功のためのポイントとなります。

 そのフィルムの移動速度は、以下の算式で簡単に計算できます。

フィルムの移動速度(mm/秒)=レンズの焦点距離(mm)÷撮影距離(m)×列車速度(m/秒)

 例えば、135ミリレンズを使って時速90Km(25m/秒)の速度の列車を30m離れて撮影する場合、上の式から計算するとフィルム移動速度は、112.5mm/秒となります。


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