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昭和50年代にスリットカメラの撮影を始めた頃の撮影機材等

(スリットカメラを始めた頃の撮影方法)

 上の右の写真は昭和50年初めにスリットカメラの撮影を始めた頃の撮影機材です。この頃のスリットカメラは1眼レフでないため、レンズも広角、標準、望遠レンズを携帯しておりました。

 また、30mまで測れる巻尺を用意して実際に線路脇で距離を測定していました。たとえば左の図でカメラ位置からAまでの距離を巻尺で計っていました。電池も単一電池だったためカメラバッグがかなり重かったように記憶しています。

 写真の中に見えるスイッチ類の付いた箱は、スリットカメラのモ−タ−の回転速度を制御するためのコントロ−ラ−ですが、この1号機や4号機のスリットカメラ専用のもので、現在は使っておりません。
その他の撮影機材にはカメラを取り付ける三脚や取り付けるときの水平度を測るための水準器などがありました。

 撮影現場に着いたらカメラを設置する場所を決め、三脚を立てカメラを三脚に固定します。次に列車を真横から撮影するときはカメラを列車側面に垂直になる様に「A」の方向に向けますが、列車を斜めに撮るときには少し「B」の方向へ向けます。

 列車が来たらフィルムの巻取りを開始するわけですが、ここで注意しなければならないのは、シャッタ−を開くと同時にモ−タ−のスイッチを入れるタイミングとしてスリットカメラのシャッタ−チャンスとも言うべきものがあることです。

 もしこのタイミングを早まると列車の先頭が写るまでフィルムを無駄に巻くことになり長編成列車だとフィルムが足りなくなる恐れがありますが、逆にこのタイミングが遅れると大切な先頭車両の顔が写らないことになるのです。このためこのスイッチを入れるタイミングは、列車がカメラの視野に入る以前の地点、たとえば「C」地点に列車が到達したときになります。

 撮影が終わったらフィルムを巻き戻しますが、この1号機のスリットカメラではシャッタ−がなかったので、フィルムを巻き戻す前に必ずレンズキャップを閉めるのですが、これを閉め忘れ巻き戻したため、せっかく撮影したフィルムが光線被りして駄目になったことがあります。


最近の撮影方法及び撮影機材

 5号機以降で撮影し始めてからは専らズームレンズを使うようになりました。そのため昔やっていたような巻尺で線路までの距離を測るようなことはしておりません。カメラを線路から20mから40mぐらい離れたところに設置して、ファインダーをのぞきながらズームレンズで常に列車が同じような大きさに写るように調整するのです。つまりスリットカメラの公式の中で言えば、「レンズの焦点距離」割る「撮影距離」において分母の撮影距離が変動しても、分子の焦点距離を変えることで、常に列車のフィルム上に写る大きさを一定にすることで、後はフィルムを動かす速度を列車のスピードに合わせればよいことになります。

 最初の頃はこのスリットカメラの公式に当てはめて実際に巻尺やストップウオッチで計測して撮影していましたが、その後、失敗した使用済みフィルムを使用してあらかじめ通過する列車を実際に撮影して、フィルムカウンターの撮影枚数から撮影結果の成否が計算できるので、本番の列車も同じ速さであると想定して本番の列車を撮影していました。ただこの方法では本番で撮影する列車の速度が異なる場合には失敗になります。

 さて上の左の写真のように広々とした田園地帯であれば接近する列車をかなり遠くから確認できるので、ストップウオッチを使って@とAの仮の目印を設定して2地点間の通過時間をストップウオッチで計測することで接近してくる列車の速度が予想よりも速いか遅いかぐらいは確認することが出来ます。もし想定していたものに比べ違っている場合には、列車が通過するまで短時間ではありますが10秒前後の時間がありますので、その間にフィルムスピードの調整を行ってからシャッターを押すことになります。この方法は写真のように見通しのきく場所でしかとることは出来ませんし、列車の速度を正確に測るものではありませんが、より失敗を少なくするために最近はじめた撮影方法です。

 以前の撮影機材の中で最近のものと違う点に三脚に加えた1脚の使用があります。これはカメラに取り付けた望遠レンズの先端を固定することで、通過列車が引き起こす地面の揺れでレンズのゆれや振動を低減するためのものです。特に重量級の機関車の撮影や通過列車の振動を受けやすい地盤上での撮影に効果があります。

 フィルムの巻取り速度を調節するモーターコントローラーは、昔と同じくトランジスタコントローラーを使用していますが、5号機に使用していたものとは別に6号機、7号機用では両機に使用できるコントローラーを製作しました。このコントローラーの特徴は、温度により抵抗値が変化するサーミスタを利用してフィルムを巻くに従って巻取り軸が太くなることによりフィルムの巻取り速度が漸増することを低減するための仕組みがついていることです。詳しくはトップページの「スリットカメラ製作記」をご覧ください。  


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