収納ケース製作の経緯についてスリット写真のプリント作品は、展示するような大きなものはその長さもさることながら用紙が丸く撓ることから、室内などで広げて鑑賞することは容易ではありませんでした。そこで、少しでもスリット写真を多くの人に知ってもらうために幅.3cm程度に小さくし、最大でも両手で広げられる程度の長さのプリントにして、機会あるごとにPRのために配布させていただいておりました。 ところが最近になって差し上げたプリントについて部屋に飾っておいたら1年もしないうちに退色してしまったという話を聞きました。 今までロール紙を使ったスリット写真のプリントはその発色の良さから染料インクを使用してプリントしているため、以前よりも改善されているとは言うものの、プリントの退色についてはその保管状況によっては短時間で進んでしまうことがあります。 ネットで調べたところ、外気に触れさせず遮光して暗いところに保管しておけば10年以上も持つようです。一般の写真プリントだとアルバムに貼って保管するのが最良ということになります。 そのため長いスリット写真を部屋の壁にそのまま貼るなどすると、常に化学反応を起こす外気に触れ続けることで、また、直射日光に当てなくても明るい部屋だと1年も経たないうちに色褪せてくるようです。 昭和の頃のカラープリントはアルバムで保存していても退色したり青みがかって変色するものでしたが、その後の技術革新により100年プリントとも呼ばれたり退色に強いプリントが普通に使われるようになりました。しかしながら、このシステムは通常のコマ写真を前提としたシステムで、スリット写真のような規格外のものには対応できません。 フジフィルムでは以前からリバーサルカラーフィルムの現像とセットのみ可能だったのですが、フィルムのパーフォレーションまでロール紙にまるごとプリントした「ビュープリント」が存在していたのですが、採算の関係からか最近その取扱いをやめたようです。36枚撮りフィルムで1050円程度で昔のロングトレインプリントと同様なサイズのプリントが入手できたのですが、フィルムの種類限定や現像と同時のみで焼き増しには応じないことから一度も利用したことがありませんでした。 このようなことからスリット写真のプリントを通常部屋に置いておいても退色しないようにする簡単な方法はないものかと考え、思いついたのが今回製作したプリント収納用保管ケースなのです。 ただ、実際製作してみて費用がかかる上に、完成するまでの手間と時間が予想以上にかかったため、以前のように作品の数を作ることはできなくなりました。 現在使用している染料系インクを使用するプリンタがあと2年もしないうちにメンテナンス期間が終了してしまうことから、顔料系インクを使用してロール紙も印刷できるプリンタを最近入手していますが、染料系のほうが発色やインクのコストパフォ−マンスも優れていることからロール紙の印刷には当分の間、染料系のプリンタを使っていく予定です。 最後に染料系インクのことですが、より安価な互換性のあるエコインクなるものがありますが、耐光性や耐水性を考えてプリンタメーカーの純正のインクを使っています。 |
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写真1: 今回製作した収納ケースの概観 | |||||||||||
写真1 |
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写真2: 上の写真と同じもので撮影の角度を変えただけです。 | |||||||||||
写真2 |
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保管ケースといってもただプリントを丸めて容器にいれ、蓋をして暗いところにしまうというのではありません。それでは作品を見るのに探すなどして時間がかかってしまいます。普段は部屋に置いても保管機能を持つものでなくてはなりません。 そこで今回製作した専用の保管ケースでは、ロール紙を円筒ケース内に巻き取っておけば遮光され、また外気にも直接触れることはありません。見たいときにケースからロール紙を引き出し、また巻き取ることで遮光されるような構造にしました。 |
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写真3: これは組み立て前の加工済みの部品類を写したものです。真ん中にあるのがロール紙の芯とフィルムケースです。このケースを製作するためにプリント後に残るロール紙の芯とフィルムケースを有効利用しています。白い円はプラバンを切り抜いたもので、真ん中に通す管はアルミ製です。 ロール紙の芯とフィルムケース以外の部品は秋葉原や東急ハンズで材料を購入して加工しました。 組み立ては、フィルムケースの真ん中に穴を開けアルミ製の管を通しケースの底の部分にプラバンで作ったギアをねじを使って取り付けます。ロール紙の芯は一部を切り落として巻き戻し用のリングにします 巻き戻しハンドルの側面に張る丸い紙はプリンタで印刷してから中心に穴を開けないで円を切る工具で切り出しています。 |
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写真3 | |||||||||||
写真4のようにケースより引き出して使い、ケースについている黒い巻き取りハンドルを回して引き出されたプリントをケース内に巻き取ります。写真5がプリントを全部引き出した状態です。 このロール紙の先端(左側)は木製の取っ手が付いていますが、その終端(右端)はテープ状の紙にメンディングテープで貼られているだけなので、その部分を引き出して止めているテープをはがすことで、別の作品と入れ替えることもできます。 |
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写真4: 作品のロール紙を一部引き出した状態 | |||||||||||
写真4 | |||||||||||
写真5: プリントの長さは約110cm | |||||||||||
写真5 | |||||||||||
写真6: 実際にロール紙を引き出しているところですが、この作品の場合はプリントの左端が先頭車なので右手でケースを掴んで左手で引き出すこのような形になります。逆に右が先頭のプリントだと左手でケースを持って右手で引き出す形となります。 写真でお分かりになると思いますが、右手でケースを持つ場所は、巻き戻しハンドルをケースを持ったとき手で掴まないようにするためこのような形となります。 もし写真でケースの上側を掴んで引き出そうとしても、ハンドルを押さえつけることになるためプリントがスムーズに引き出せません。 |
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写真6 |
SINCE May 19,2013
Renewal of June 16,2013