競馬場などで着順判定のために使われるスリットカメラは専門メ−カ−で作られた精度の高いカメラですが、このホ−ムペ−ジで紹介するスリットカメラは個人が趣味で行っている一般のカメラを改造した自作カメラです。 外観はかなりごついものばかりですが、ここで今まで製作したスリットカメラについて簡単に紹介させていただきます。

[1号機]-故障により廃棄

第1号機[写真1] 第1号機とモーターコントローラー[写真2]
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 写真1が初めて作ったスリットカメラです。製作のもとになったカメラは「リコ−キャディ」というハ−フサイズカメラで、レンズ部分は交換可能なように脱着式にしました。 モ−タ−の脇についている電池は、フィルムを巻きすぎないようモ−タ−を停止させるためのリレ−を駆動するための電源として使っていました。写真2に写っている箱は、モ−タ−を制御するためのコントロ−ラ−です。制御素子としては、鉄道模型のコントロ−ラ−に使われているようなパワートランジスタを使用しています。
 箱にはスイッチ類やダイヤルがいくつもつけられていますが、これらは一定区間の車両の通過タイムを測定し、それに合わせてモ−タ−を制御するために使っていました。
 この1号機は初めてのスリットカメラで昭和50年代に使い続けましたが、途中で故障してしまい使われなくなりました。

[2号機]―使用せず廃棄

第2号機[写真3]

 写真3が2台目のスリットカメラです。 第1号機と異なる点は、列車が左右どちらの方向から来ても撮影が可能なようにカメラの周りに枠を取りつけ、カメラを三脚に天地逆にも取り付けられるようにしたことです。 しかし、このカメラはギアのかみ合わせがいまいちで、結局1度も使われませんでした。

[3号機]-問題点改善できず使用中止

第3号機[写真4]

 写真4が試作第3号機です。以前のカメラとの違いは、初めて1眼レフカメラ
を使ったことです。製作の基となったものは「コニカオ−トリフレックス」という古
い1眼レフカメラです。カメラの左側にあるものは、巻き取ったフィルムを格納す
るボックスで、フィルムは直径4cm程度の円筒形の軸に巻かれます。
 1眼レフにしたのは、レンズを通して直接被写体を見ることができることや、撮
影現場でカメラ等をセットしやすいためです。また、フィルムカウンタ−として回
転軸に磁石を付け、リ−ドスイッチにより回転数を検出しています。
 このホ−ムペ−ジで掲載してある京浜東北線の103系の車両はこのカメラで撮
影しました。
 3号機の問題点は縦縞模様が多く出ることで、ギヤ周りを直しても改善しない
ため4号機を作ることにしました。


[4号機]-分解後転用

第4号機[写真5] スキャナー用装置に転用した第4号機[写真6]

 第4号機はフィルムを軸に巻き取るのではなく、フィルムを回転する2個のゴムロー
ラーの間を通して移動させる方式をとりましたが、実際フィルムを装填して回転させた
ところ、低速では問題ないのですが、高速になるとフィルムとゴムローラー間ですべり
が生じスリップしてしまうことがわかりました。そこでこの第4号機は写真6のように、
スリットカメラとして使用することは諦め、駆動装置の部分をフィルムスキャナーの電動
式フィルム送り装置として転用することとしました。
 写真6の装置の後ろがフィルムスキャナーで、装置の真中からゴムローラーを介して
読込み後のフィルムが出てくる構造です。右側のレバーはフィルムをゴムローラーに
挟んだりはずしたりするためのものです。

 なお、このスキャナー用フィルム送り装置は、平成21年にスキャナーをフラットベットスキャナーに買い換えたことからその後使用しておりません。


[5号機]-現在使用中

第5号機正面[写真7] 第5号機裏面[写真8]

 4号機は失敗作ということで新たに作り直し、平成10年に5号機を完成させました。
5号機の特徴は伝動装置にウオームギアを採用したことです。3号機と同様に天地逆
に撮影できるようアルミ枠を取り付けました。モーターはラジコン用の大型のマブチ
RS-540SHを使っています。カメラの脇には3号機と同じく巻き取ったフィルムを格納
するためのボックスをつけてあります。この5号機の完成により、今までにない縦縞模
様の少ない優れた画質のスリット写真を撮影することが出来るようになりました。
 しかし、10年近く使用し続けると
故障も多くなり、交替機の必要性を感じ5号機に代
わるスリットカメラの製作に取り掛かりました。

[6号機]-完成するも故障続きでカメラを取替え

6号機正面(写真9)

 平成17年初めの頃から製作の準備を開始していたのですが、1年後ようやくカ
メラ本体が完成し、試写を繰り返してようやく撮影できるまでになりました。
 また、専用のモーターコントローラーの製作も終え、さあこれからというときに、フ
ィルムを巻上げるレバーが回らなくなりましたが、平成20年4月にカメラを分解して
この故障を修理しました。
 改造に使用した一眼レフカメラやウオームギアによるモーター駆動方法は5号機と
同じですが、フィルムを巻取るドラムの大きさを5号機より若干小さくしました。
 また、新たに何枚もの平ギヤを組合わせたフィルムカウンターをつけました。
 しかしながら、このカメラは製作中に計5回も落下事故を起こし、そのたびに修理を
繰り返していたのですが、この落下の衝撃が直接の原因と思われますが、スリット
カメラ特有の縦縞模様が現れ、何度修理しても直らない状況になりました。
 そこで平成23年になり、6号機の修理を諦め新たに7号機を新規に製作することと
し、準備を開始しました。その後、この6号機にはまだ薄い縞模様が残っていますが、
画像の鮮明度は優れているので今後も使用していくつもりです。
カメラ取替え後の6号機(写真9-1)
 6号機ですが、その後も撮影中にシャッターが動かなかったり、巻き上げレバーが途
中で引っかかったり、不具合が収まらなかったので、ヤフオクで格安の中古カメラを手
に入れられたのを契機にカメラ本体を取り替えることにしました。機種が全く同一でなく
TとT3の違いがありましたが、シャッターボタンとベルト取付金具の位置が少しずれて
いたのを除けば、本体はぴたりと以前の台枠に収まりました。

[7号機]-最短期間で完成

7号機(写真10)
 平成22年末にインターネットオークションで改造の元となるカメラが入手できた
ので、その後関係部品を揃えて5月のゴールデンウイークから製作に着手し、7
月中には試写できるまでになりました。そして8月中旬までに写真の7号機を完
成させました。毎週土日を連続して製作作業に当てられたことが、わずか3ヶ月
余りで完成できた主な理由ですが、6号機の失敗を生かせたことも短期間で完
成できた理由のひとつです。
 7号機の特徴は、まず巻き取りドラムの直径を5号機と6号機の中間位の大き
さにしたことです。ただフィルムを格納する円筒状の箱については、設計ミスか
ら一番大きいサイズのものとなってしまいました。
 フィルムカウンターについては、6号機の機械式が一番正確ですが、老眼のた
めダイヤルの文字が小さすぎて読めないため、5号機と同じ歩数計を改造したも
のにしました。
 試写の結果を見る限り、起動時のモーター回転の立ち上がりも早く、画像に現
れるスリットカメラ特有の縞模様も5号機同様に見られず、また5号機に見られた
部分的な画像のとびも今のところ見られません。撮影成功時の解像度は5号機
を上回っているように思います。 


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